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2006年7月24日 (月)

小泉政権の総括

エラソーに総括してみよう。
第一に(総理自身の口から改革のなんたるかを聞いた覚えはないのだが)改革とは官の縮小であり、官の縮小→財政再建が不可欠であることを国民的共通認識にしたことは小泉政権の功績だろう。
しかし第二に外交は躓いた。日米同盟が外交の基本と強調したことはよいとしても、違憲靖国参拝を個人の信仰の自由と言い張っていることを見逃してあげるとしても、あまりにもバランスが太平洋の向こう岸に傾いてしまった。も少しリスクヘッジするべきだ。
さはさりながら、このアンバランスの理由を考えてみるに、この国のビジョンが不明確ということに起因するのではなかろうか。つまり、米中対決の狭間で、あるいは米中結託→日本外しという状況下で日本が(憲法9条/日米安保も含めて)どう生きていくかについて国民的合意が不足していると思うのである。
アメリカは戦後日本再生の重要な導き手であり、今後も大切なパートナーであることは変わらない。しかし強いドルはいつまで続くか不安、イラクはやりすぎ、中東もあそこまでイスラエルの肩を持つべきではない、イラン空爆なんてするなよ、お膝元中南米資源ナショナリズム反米左翼政権をクーデタで転覆させる危惧など不安・懸念がいっぱいだし、ひょっとしたらアメリカ自身が世界の警察官をいつまで続けられるのか続ける気なのかも気がかりである。
一方、中国。政冷経熱はいいとしても資源がぶのみ、環境汚染、国境侵犯、反日教育、詰まるところは中国共産党一党独裁統治がいつまで続けられるか、こちらも不安だらけである。もっと不安なのは日中開戦などと息巻く日本国内阿呆国粋反中国連中であるが。
そして朝鮮半島。どうやって金政権を平和裏に解体するか、という六カ国共通の難問がある(北にとってもポスト正日は実は平和裏解体というテーマだろう)。

外交は、民でできることは民で、などと単純に割り切れる問題ではない。また事の性質上全てを公開して進行させることも不可能である。しかし、外交の背骨となるのは国家的ビジョンであり、これについては一定の国民的合意が必要である。言葉にすれば「日米同盟を基軸として東アジアの安定を図る」などにならざるを得ないかもしれないが、少なくとも、9条、日米安保をどう考えるかはポスト小泉選定の際の重要な論点と思うのだけど。あかんやろなあ、安倍ちゃんで決まりかあ。

そしてもっと重要なのは第三、国家か個人かという選択である。貧しい時代は国家が第一、お上が先導して経済的繁栄をもたらしてくれる、官を押し立てて民は一致協力日本株式会社でやっていこう、で済んだ。そして成功した。
しかし時代は変わった。日本はバブル崩壊という大きなオマケつきで成功した。ソ連倒壊で国家的対決相手もいなくなった。中国、インド、第三世界が世界経済のビッグプレーヤーになった。なによりも資本がグローバルで駆け回り、ひょっとしてウォール街はアメリカの国益よりも資本益を優先(世界を多極化することが資本益)するのではないかとも思われるグローバリズムの時代になった。国家の相対的地位は低下し世界中の無数の個人が主役を務める時代を迎えようとしているのである(ブログ花盛りはその前奏曲)。Photo_10
こうした趨勢を受けて明治維新以来の「この国のかたち」を変えるべき時が来ているのである。明治維新はようやく終わろうとしているのである。

だから、改革改革というコトバに踊らされてはならない。個人が主役→新しい国のかたちの形成→ポスト小泉という順序でものごとを考えるべきである。地方分権もこの文脈で語られるべきだろう。

国家なんか(実は)いらない、世界共和国へ。我々はその第一歩にいるのだと思う。

ストボで「あなたにとって小泉首相は○だった×だった?」という企画をやっています。そこ向けにこの文章のエッセンスを投稿してこちらへトラックバックさせようという魂胆であります。

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「経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

こんにちは

ストボから来ました。東アジアの情勢について一言。インドを忘れてます。北朝鮮のミサイル発射後、インドもミサイル実験をしています。これは間接的な対中牽制になったようです。戦略レベルでは米印連合だと思いますよ。もちろん一方で中印国境の開放などの、地域レベルでは緊張緩和しており、本気で米印連合が中国を包囲するとの見方は行き過ぎですが。

また、インドは上海機構について今回は事務級派遣にとどまっており深入りは避けているようです。一方でリムパック(環太平洋合同演習)にも関与しておりどちらかといえば米国よりの姿勢です。このインドの動向が東アジアの情勢にかなり関わってくると言うのが今後の焦点かと思いますがいかがでしょう。

日本について言えば米国との関係が最重要でしょう。中国とも経済関係は深い。この二者択一的状況からインドにも軸足を持つようになれば三本足で立てるようになります。いままでとは違った動きを期待できるかもしれませんね。

投稿: JNR | 2006年7月31日 (月) 午後 05時53分

鋭い指摘を頂き、ありがとうございます、JNRさん。そうですね、インドと何らかの関係を確立できれば面白いですね。

経済についてはどうせ政府は大したことはできないのですから、ポスト小泉は外交論争を展開して欲しいと(今改めて)思いました。筋を通した外交戦略は(戦術ではなくて)価値観が背骨が無いと展開できません。麻恒三の三氏がどんな価値観をお持ちになっているのかを知る絶好の機会なのにと思っていますが無理でしょうなあ。

投稿: 土曜日の各駅停車 | 2006年8月 1日 (火) 午前 04時36分

『見つかった!南京の記述!、翰林版にも!』

 「Voice of America」などによると
 南京の記述が無い無いと騒いでいた(2007年2月ころ 主にネット上で)、
 翰林版の教科書にも、最後の付録の大時紀(大年表)に
 "日軍入城大肆殺戮、是為南京大屠殺"
 と書いてあるそうです。


  news VOA com

  Voice of America

   臺教科書淡化南京屠殺國民黨不滿 記者: 張永泰
    台北
    Feb 13, 2007

    台灣新版高中歴史教科書當中,出現了淡化處理南京大屠殺事件的情形。
    在野黨的國民黨對此相當不滿,並提出了批評。

    有關1937年的南京大屠殺事件,
    台灣今年許多不同版本的高中歴史課本都出現了淡化處理的情形。
    以翰林版為例,課文沒有提到南京大屠殺,
    只在最後附録的大事紀當中提到“日軍入城大肆殺戮,
    是為南京大屠殺”15個字。

  続きは
  http://tv11.2ch.net/test/read.cgi/cinema/1205795165/
   【反日に反撃】南京の真実 第一部 七人の死刑囚【第9戦】
     158.~160.

投稿: カルビー | 2008年4月 5日 (土) 午後 04時42分

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