古泉千樫
今日はマクラが思いつかない。昨日の停電・相場棒上げは短歌となかなか結びつきそうにないし、最近のNHK左傾化(日中戦争/南京虐殺実在肯定スペシアルにちょっとびっくり、その前のワーキング・プア、チャベス政権)が安倍政権成立を前に心配というのもオチに困る。困ったからこのウダウダをマクラにして兎に角書き始めてみた。
今日の歌人は古泉千樫。アララギの編集に携わったがその後離れた歌人である。
朝なればさやらさやらに君が帯むすぶひびきのかなしかりけり
白秋の「君かへす」が、「さくさくと」が大発見であったのに対して、この歌も「さやらさやら」 が発見である。そして「朝なれば」が暗い事情を暗示していて、結句「かなしかりけり」と対置されている。「かなしかりけり」は「哀しかりけり」とも読めるが、ここは矢張り「愛しかりけり」であろう。愛は哀しいのだから。
白秋は美しすぎた。千樫は女性的要素が入っているのか美が哀しみによって若干中和されていて、写実的美となっている。だからどうした、単なる不倫の歌だろ、「夜が恋しい、あなたが憎い」とどこがちゃうねん、と言われても困るのだけれど。
詩は発見でなければならない。陳腐な言葉遣いは詩を愚弄するものである。この歌は「さやらさやら」と「かなしかりけり」によって詩として成立しているのである。擬音語の発見にも注力を心がけよう。
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