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2006年11月28日 (火)

陰の主役、すま・けい

寅40作は「サラダ記念日」。当時、爆発的なブームを起こした俵万智の歌集にちなんだ題名の作品だ。知らない人のために歌を引いておこう。
 「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日Photo_342

マドンナは三田佳子。ちょっとセンチにすぎる女医役がぴったりだった。寅に対するカンドンはマドンナ共通だからこれは許す。
そして、三田の上司である病院長(一人暮らしであることが映画結末部でさりげなく描かれている)がすま・けい。これが実は陰の主役なのだ。

というのは、すま・けいのセリフ(ようちゃん、流石。冒頭で引いてくれました)が理由だ。

いいですか。この病院はあなたを必要としている。それが何よりも大事な事で、あなたが抱えている問題は大したことじゃない。子供と会いたければ、呼び寄せれば良い。え、悩み事があれば、働きながら解決すれば良い。そうやって苦しみながらですね、この土地で医者を続けていくことが、自分の人生だということが、あなた、どうしてそれが確信を持てな・・ないんですか。東京の郊外のお母さんの家で、花でも眺めながら休息の日々を送る。その内、縁談があって、瀟洒な病院の奥様に納まる。そんな人生があなたにとって幸せなんですか。ちっとも幸せなんかじゃない。

これはもうほとんど愛の告白である。「瀟洒な病院の奥様」などは嫉妬の表明である。このセリフを映画は、すま・けいの後姿のみを映して表現する。すま・けいの背中の名演技に俺は唸ったのだ。
そして映画の結末部、新年、忙しく働いている三田佳子(東京に戻ることを諦めたようだ)と一人ぼっちのお屠蘇で酔っ払ったすま・けいを映し、画面一転、恒例の寅の正月バイで終わらせる。

どうした、すま・けい。おまえも寅になりたいか。
欲しいのなら「センチな医者は不要。俺の女になれ」と迫れ。愛は惜しみなく奪うものなりき。

※写真はすまけい -プロフィール-から勝手拝借/感謝です。

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コメント

どうもです。いつもTB&引用ありがとうございます。

すまけい、良いですよね。そうでした、あの場面、後姿で撮影されていました。

前作では、最後、五月みどりと結ばれることを描いていたので、この作品の後日談としては、もしかして、結ばれるのでは、と思うのは、考えすぎでしょうか。

投稿: ようちゃん | 2006年11月28日 (火) 午前 10時02分

いえ、考えすぎではありません。しかし、三田佳子が世話女房にになれるか否かという問題は残るように思います。愛は耐えることかもしれませんが。

投稿: 土曜日の各駅停車 | 2006年11月28日 (火) 午前 10時12分

この記事へのコメントは終了しました。

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