9条を支える思想的根拠
すべての護憲論者はこの問題提起を真剣に受け止めるべきだという記事を目にしたの で、コメントさせてもらった。
9条は政策的規定(損得の問題)だから思想的根拠(価値観:平和)は不要というのが俺の考え方なのだが、さて、「気の抜けたビール」だろうか。
ちなみに、世界三層モデルに損得と平和を追加してみた。
価値世界 ⇔ 論理世界 ⇔ 事実世界
価値 構造・モデル 事実のみ
正義 真理 -
平和 損得
信ずる 疑う (味わう)
言語 経験
ウィトゲンシュタイン 西田幾多郎
※画像はWeb相鉄瓦版・特集から勝手拝借/感謝です。
| 固定リンク
「哲学」カテゴリの記事
- 時間の重層化(2014.10.27)
- 短歌と俳句(2014.08.31)
- 生き急ぐ歳にはあらず通勤の各駅停車哲学史読む(2014.07.11)
- 神探す唯物論者梅雨の底(2014.06.24)
- 戸田山和久「哲学入門」読了(2014.06.19)
コメント
土曜日の各駅停車さん、拙記事に関してコメント&記事を書いていただきありがとうございます!ご指摘の、「憲法は政策的判断規定であり、価値観表明文ではない。」というご意見、まさに、私が、現在考えている問題とリンクしていて大変啓発されました!国の外交の現実は多様で、複雑なわけですが、憲法を、各状況の現実に定着させる際、現実の選択肢にはいろいろな可能性がありうるわけですね。、、、さて、その現実に移す際の判断が、規定にのっとっているのかいないのか、それを判断するときに、規定を支える本質は何か、を問い直さざるをえない気がしています。9条の場合だと、外交の状況によっては、「戦争をしない、武器を持たない」、という規定だけでは状況に応じて国がどうすべきかを判断しかねる場合がありうる気がします。「戦争をしない」というルールの本質を、状況に応じて現実に定着させるには、規定を支える根拠が何なのかを考える必要がある場合もあると思います。それが価値や思想であるかは私にもまだ分からないのですが・・。
投稿: 鏡 響子 | 2007年1月20日 (土) 午後 11時35分
損得の問題でいえば、自衛隊をもつこと、日米安保条約、やはり、すべて利害によって成立してきたものだと思います。9条が成立した背景にももちろん、各国の思惑・利害が絡んでいたのですが、皮肉にも9条の本質は、利害を超えたものを含んでいるような気がしてなりません。9条の意味を損得の視点でとらえて、「戦争をしないでいるほうが国にとって得だからしない、そのためには武器を持たないでいるほうが都合がいいから持たないでいよう。」というルールと、自衛隊と安保条約を利害の上で守っている国の現実は、やはり、「利害」という視点で考えても矛盾があるように思えます。「戦争をしない、武器をもたない」ほうが得なのであれば、自衛隊は利害から生まれたものではない、ということになってしまいますし、その逆もいえると思います。でもこれは、土曜日の各駅停車さんの、ご指摘の意味をきちんと理解しないで書いているかもしれません。もっとよく考えてみようと思っています。
投稿: 鏡 響子 | 2007年1月20日 (土) 午後 11時57分
鏡響子さん(お名前の誤記、失礼しました)、篤実なコメントをありがとうございます。
思想といわれるものに関して、私は「疑う」ことと「信ずる」ことの二つの側面があるように思っています。普通は後者を主として言うのですが、前者も忘れてはならないと思っています。だから、思想的根拠と問われると平和主義と矛盾するような政策的判断も是とするのかもしれません。
「平和を愛する諸国民の公正と信義」を信じつつ、具体的判断・行動では他国の国家権力に対する疑いを怠らない。平和を守るということはそういうことかもしれません。
いずれにせよ、憲法論議がこうして深まるのは「国家の品格」向上に資することです。今後ともどうかよろしくお付き合いの程、お願いいたします。
投稿: 土曜日の各駅停車 | 2007年1月21日 (日) 午前 04時48分