杏の花の句@三連作
花杏耳朶うつくしき人と逢ふ
言はざりしそのひとことも花杏
花杏なにも言はねば黙す人
一句目は男の句。「うしろより耳朶噛まれゐて陽炎へり」富士真奈美を下敷きにさせてもらった。ああ、それから「耳のうら接吻すれば匂ひたる少女なりしより過ぎし十年」近藤芳美もある。
二句目も男の句。寅をすこし上品にしたような男である。
三句目は女の句。寅よりすこし上品でもっと無口な男に対してのリリーの思いである。
花杏夜も真白き伊豆に来ぬ 福田蓼灯
妻が言へり杏咲き満つ恋したしと 草間時彦
従妹たちみなひととなり花杏 木村蕪城
妻と子の何興ずるや花あんず 安住 敦
家の近辺では杏が一番先に咲く花だ。杏が咲き梅が咲きそして雪柳という順序で春になる。杏はなんにも言わないけれど雄弁なのである。
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コメント
杏花過去形だけが匂うなり 谷人
寡黙とか清楚とか、クラシック音楽みたいです。
遠い遠い思い出ばかりが過ぎります。
ワルトトイフェルの『女学生』という管弦楽を時々
聴くことがあります。 でわ。
投稿: tani | 2007年2月 8日 (木) 午前 06時12分
クラシック特に後期ドイツロマン派は饒舌です。だから、寡黙は高倉健です。くそおお「女学生」のメロディを思い出せません。
投稿: 土曜日の各駅停車 | 2007年2月 8日 (木) 午前 07時59分
啓
ワルトトイフェルの『女学生』はCDで聴くようなわけにはいきませんが、下記URLで思い出せるでしょう。♪~
http://homepage3.nifty.com/TAD/music/music112.htm
不敢取。 tani
投稿: tani | 2007年2月 8日 (木) 午後 12時58分
「ブルーマをはいて走っていた女学生達の運動会の興奮」ですね、感謝です。一句できました。明朝公開します。
投稿: 土曜日の各駅停車 | 2007年2月 8日 (木) 午後 01時32分