「春の雷」とすべきかどうか迷ったが、結局、切れ字に寄りかかることにした。
春雷や恋は突然やつてくる
ほんとにそうかな、と疑り深い俺は思うのである。酒飲みがなんにつけても飲む理由にするのと同じではないだろうか。
下町は雨になりけり春の雷 正岡子規
春雷や胸の上なる夜の厚み 細見綾子
あえかなる薔薇撰りをれば春の雷 石田波郷
春雷やたどりつきたる京の宿 久保田万太郎
細見綾子の句は男でもわかる女の句だ(と思う)。子規の句は春雷の写生のようで、実は下町の雨との取り合わせ、二物衝撃と読んでもいい。俺の句はつきすぎの取り合わせかもしれぬ。
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