春の鹿@春鹿に恋心あり乙女子よ
「雄鹿の前吾もあらあらしき息す」橋本多佳子の向うを張るつもりはこれっぽっちも無い。
春鹿に恋心あり乙女子よ
わりとすんなり浮かんだ句だ。二句切れで下五は「~よ」と呼びかけて終えるという型があるのだと認識した。十七音という狭い天地に、季語と型に導かれて詩情を垂らすのが俳句である。
世にも清き濡れ眼かなしも春の鹿 森川暁水
春鹿の眉ある如く人を見し 原 石鼎
まつさらの闇から生まれ春の鹿 寺田良治
春の鹿ぽつんと歩きはじめけり 宮崎夕美
「老齢の雄は4月初旬には角が落ちてしまう。雌は秋に妊娠して、5~7月の間に出産する。子を孕んだ雌鹿は、動作が鈍く、脱毛と重なってやつれて哀れにみえる。」とわたしの俳句歳時記にある。手元の歳時記には「孕鹿」が別の項目である。「孕鹿とぼとぼ雨にぬれていく」高浜虚子。
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