桃の花、三句
大空は青いカンバス桃ひらく
ワンクリック一円寄付す桃の花
人間はもともと善意桃の花
俳句写真を手がけるようになってから、草木花を取り上げることが多くなった。梅、木瓜、沈丁花、菫、黄水仙そして桜である(これまでの句を思い出しつつ挙げてみた(記憶喚起力チェックのつもり)。
描写を写真に頼りがちになるという弊害はあるが、他方で、世界が拡がるという素晴らしいメリットもある。なにせ沈丁花も碌に気づかなかった鈍感だったのだから。
ふだん着でふだんの心桃の花 細見綾子
百姓に今夜も桃の花盛り 永田耕衣
桃の花死んでいることもう忘れ 鳴戸奈菜
人間へ塩振るあそび桃の花 あざ蓉子
細見綾子の句には四十代の頃、上野さち子「女性俳句の世界」で出会った。一読して「ああ、これが平常心ということだ」と感じ入って、人に吹聴したことがある。平明でわかりやすい句の代表的作品だと思う。
一方、あざ蓉子の句に関して、稔典さんが「優れた俳句の条件の1つは、難解性という微量の毒を持つことではないか」と書いている(リンク参照)。なるほど「難解性という微量の毒」に痺れる。してみると俺が目指すところは、平明な叙情性に微量の毒をトッピングしたものかと思いつつある。毒があるからこそ、味わいも快楽もあるのだ。死んだり病気になったりしない範囲で毒を楽しみたい。
ところで、「ワンクリック一円寄付す桃の花」は「クリックで救える命がある」ボタン(左のサイドバー参照)に題材をとったもの。今週の日経俳壇の句「ユニセフに僅かな寄金鳥雲に」(東京 赤荻周平)からヒントを頂戴した。この「クリックで救える命がある」ボタンは企業に銭を使わせて俺の腹は痛まない仕組みなので、愛用クリックしている。
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コメント
アンケートに答えて、貯まった報酬をユニセフに募金することができるサイトがあります。
マイボイスといいます。自分にできることを少しでもしようと思い、利用しています。
投稿: りんたん | 2007年3月24日 (土) 午後 02時19分
マイボイス、ちょっと覗いてみました。なるほど、こういうスタイルもありますねえ。勉強になりました。
投稿: 土曜日の各駅停車 | 2007年3月24日 (土) 午後 03時39分