桜@歳月や桜いづこも美しき
歳月と面影は俺にとっては貴重なキーワードだ。というのもこの句のように切れ字「や」等をつけて上五を形成できるからだ。「歳月に枝垂桜の巨木かな」「面影や庭にひともと八重椿」で実証済みである。
もっとも、このようなテクニックは句を平板、月並みにする限界を合わせ持っている。それを知った上で使うこと、いずれはこのようなテクニックから脱却することと自戒すべきである。
喪の帯を締め合つてゐる桜かな 黛まどか
朝ざくら閻魔堂まで十二段 平沢陽子
桜満ちる十日 障子の桜色 伊丹公子
大砲を引き出すように桜咲く 児玉硝子
「桜を待ち望み、花見を楽しむのも生活上の通俗。通俗は個人と他者を結ぶ大事な要素である。そのことにもっとも敏感な俳人がまどかかもしれない」と稔典さんがまどかの句を評している。なるほど、通俗から詩への経路があるんだなあ、勉強しよう。
以上の例句は全て稔典さんから引かせてもらった。こうしてみると掲題句も下五をも少しひねるべきだったかなあ。例えば「桜色」などと。しかし、やはりここは「美しき」でなくてはならぬ。歳月が桜の美しさを造形するのだから(女性も同様)。
言い忘れた。写真の場所は薬師池公園@町田市だ。橋が風情のあるものだったら日本の桜名所ベスト100には絶対に入るのになあ。
| 固定リンク
「俳句写真」カテゴリの記事
- 極楽を夢見往生蓮の花(2013.07.29)
- 祝、世界遺産登録@紅富士の湯(2013.06.28)
- 積年の虫歯治療や五月尽(2013.06.01)
- ボランティア添える手やさし朴の花(2013.05.08)
- 梅一輪明日は多分春の雪(2013.02.06)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント