八重桜@八重桜多情多恨の半生よ
八重桜多情多恨の半生よ
どうも写生が下手である。八重桜を写生しようとしても浮かばない。そこで二句一章に走ることになる。いわゆる取り合わせで読ませようとする句である。本句も「八重桜」と「多情多恨」の取り合せだ。多少の生活実感があるのが救いではある。
奈良七重七堂伽藍八重ざくら 芭蕉
起居憂し咲きただれたる八重桜 福田蓼汀
八重桜日輪すこしあつきかな 山口誓子
夜がくれば夜の冷えおくる八重桜 能村登四郎
芭蕉の句は言葉遊びが面白く、伽藍との取合せでもある。蓼汀の句は「起居憂し」との取り合せだが「咲きただれ」に表現上の工夫がある。そして、誓子の句は「日輪あつき」、登四郎の句は「夜の冷え」との取合せだ。要するに、対象に何を見てどう感じたかが焦点(すなわち句の思想)であり、その思想を写生で表現するのか、取合せとして配置するかの違いである。更に言えば、写生も広い意味では取合せの範疇に入ると思う。
つまりは対象からどんな思想を引き出せるかが、俳句の力すなわち俳筋力である。
WHY:なぜ俳句をつくるのか。WHAT:何を表現したいのか。HOW:いかに表現するのか。
WHYに答えは無いけれど、常にWHYを問い続けること。そして一句ごとにWHATを確認することだ。そうすれば、いつかええこともあるやろう。
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