花冷え@花冷やポケットにある鍵ひとつ
「花冷え」は最も美しい日本語の言葉といわれているから、これはなんとしても句にしなければとリキんだ。しかし、花そのものではなくワンクッション置いた季語だからだろうか、これがムツカシイ。
「花冷や白くなりたる顎の髭」「花冷えも意気と洒落とで押し通す」「花冷や人生洒落で押し通す」などをひねったが、いまいち花冷えとの関連性と詩想に欠ける。更に苦吟してようやく本句を得た。はたして鍵は何の象徴だろうか。
花冷や箪笥の底の男帯 鈴木真砂女
花冷のちがふ乳房に逢ひにゆく 真鍋呉夫
花冷えのマスクをかけて眉の濃き 久保田万太郎
花冷えの底まで落ちて眠るかな 古館曹人
真砂女の句と掲題句とは同じパターンだと気づいた。ひょっとして潜在記憶に真砂女の句が眠っていたのかもしれない。
真鍋呉夫の句は象徴詩だと本人がNHK俳句で語っていた。なるほどなあと思ったけれど何の象徴かを俺は説明できない。眉の濃い女の夢でも見て眠るとするか。
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