あなたがあなたである理由を述べよ
ガキの頃から不思議だった。「なんで俺は俺なんやろ?」「なんでこの俺に生まれて来たんやろ?」と。この疑問を数年前にある女性に話したら「変な子やったんやねえ」と鼻で笑われてしまった。
思うに、こういう疑問を持つ人と持たない人とに世の中は二分されるのだろう。疑問を持つ人の典型が偏屈哲学者永井均。彼はこの疑問を「開闢の奇跡」という大げさなネーミングで呼んでいる。
そこで、アバウトミーに例によって質問してみた「あなたがあなたである理由を述べよ」。皆さんとのお喋りで啓発されてたどりついた俺の答えは「あなたがいるからわたしがいる」である。
私たちは三つの世界→「事実世界」「記号世界」「価値世界」を生きている。そして、「私」とか「あなた」(代名詞)は記号世界の存在。同様に、心もその大部分が記号世界における現象(心は社会的現象)。だから、あなた(即ちあなたの心)があなた(即ちあなたの身体)である理由は「あなた」(代名詞)が記号であるからであり、「わたし」(代名詞)があるからであるということになる。
もっと端的に言うと、「事実世界」と「記号世界」とは地と図の関係なのだ。そして、あなた(即ちあなたの身体)とあなた(即ちあなたの心)とも地と図の関係。地に着目すればそれは身体、図に着目すればそれは心。このことを心身一如というのである。
ああ、俺はデカルトの心身二元論を超えてしもうた。この屁理屈好きめが。
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