開け放つ扉のひとつ星月夜
だいぶ以前、姫路に旅行していたので夜中に目覚めるとすることがない。仕方が無いから外を眺めると満月だった。煌々と空は明るく星も美しい。そうか、これが星月夜(秋の季語。ほしづくよ)かと得心した。
そこで俳句。「星月夜この人生の隠し味」「星月夜照らしてをりぬけもの道」「照らされてけもの道にも星月夜」などひねったがパッとしない。しようがないので発酵させていたら、先日、何かの歌曲で「開け放つ扉」に出会った。そうだ、これを頂戴しようと思いついたのが本句だ。誰も言うてくれへんから自分で言うけど象徴詩(のつもり)である。
星月夜の写真をつけるのは(今の俺には)無理。そこでサルヴァスタイル美術館からゴッホ「星月夜」(→ゴッホは「僕らは死によって星へと到達するのだ」と言ったそうだ)を拝借転載する。俺の星月夜に比べると強烈にすぎないかと最初思ったが、ようく眺めるとそうでもない。ゴッホも同じ星月夜を見たのだと思う。
戸口迄送つて出れば星月夜 正岡子規
砂山をのぼりくだりや星月夜 日野草城
われの星燃えてをるなり星月夜 高浜虚子
星月夜山一つ越え電話帳 川崎展宏
虚子の句はちょっと脂濃い。子規は水臭い。草城が叙情的、でも、展宏にモダン古風な詩を感じるかなあ。人生は詩に満ちている。
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コメント
貴句を見たとたん、
「開け放つ窓それぞれに星月夜」が出てきました。
その前に、ゴッホの「星月夜」の解説で、入院中に描かれたとあったので、ずらっと並ぶ病院名窓を連想してしまったのでしょう。
3年も過ぎてからのコメントが、お目に止まるでしょうか?
投稿: あおめ | 2010年8月 7日 (土) 午後 09時29分
わお、ありがとうございます。「開け放つ窓それぞれに星月夜」←いい句です。「真砂ナス 数ナキ星ノ 其中ニ 吾ニ向ヒテ 光ル星アリ」子規を思い出しました。いつか星になりたいものです。
投稿: 土曜日 | 2010年8月 8日 (日) 午前 04時48分