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2008年3月25日 (火)

共産主義失敗の原因は何だったか?

Photo ベルリンの壁崩壊1989年から思えばもう20年も経つんだあ。いったい、共産主義って何だったんだろう。今でも共産主義者を自称する人は共産主義「失敗」の原因は何だったか?きちんと分析・評価・総括すべきだろう。その総括もせずに共産主義者を名乗るのは知的思想的怠惰以外の何物でも無い。そこで俺がなり代わってエラソーに分析することにする。以下、失敗原因と思われるものを経済・政治・思想・組織の4分野別に考える。

(1)経済原理:統制経済の失敗
かつてのソ連経済に典型的に現れたように、国家に経済を統制できる能力は無かった。アダム・スミスは依然として正しく、市場経済=見えざる手に委ねるのが経済合理性・効率性実現の唯一の道なのだ。
もっとも、社会的共通資本まで神の手に委ねるのは現実的でない。特に、食糧・エネルギー・水・環境。石油資源の枯渇や世界的貧困(食糧問題)を思うと国家乃至国家連合更には世界政府による政策的介入無しでは人類存続も危ぶまれる。

(2)政治原理:一党(プロレタリア)独裁の失敗
これは(1)より小さな原因に見える。なぜなら、ソ連は経済より政治の自由化を急いで崩壊したのに対し中国は政治の独裁体制を維持したままで経済自由化でなんとか存続しているからだ。要するに、人民にとっては政治より経済。食えてるうちは多少の独裁でも文句を言わないからだ。
封建体制が長かったり民度が低い国の近代化にあたって開発独裁はある程度必須だ。明治維新日本も言うならば天皇制開発独裁だった。そして、敗戦後「民主主義」日本もバブル崩壊までは自民党利権開発独裁に政治的合理性があったと言える。自社55年体制崩壊後の政治的混迷は開発独裁に代わる政治原理を発見できていないということかもしれない。

(3)思想原理:マルクスレーニン真理一元主義の失敗
我が敬愛するショスタコーヴィチの音楽まで統制、弾圧するなんてソ連はサイテーの文化国家だった。政治原理は開発独裁であっても思想言論文化は自由市場というスタイルもあり得たかもしれない(原理的には矛盾だけれど)。経済、文化は自由化、政治は国家崩壊による争乱を免れるべく多極化をソフトに排除するというのが、中国共産党が採るべき賢明な道である(その道を目指しているだろう多分、無理だろうけど)。
ちなみに、マルクスレーニン真理一元主義は西洋近代プラトニズムの必然的な行き着く先だった。最早、一元主義に未来は無い。時代は多元主義を要請している(「真理より道理、実在より現象」参照)。

(4)組織の問題:権力は必然的に腐敗する
権力に腐敗は必然。中国共産党が上記の賢明な道を歩めたとしても、汚職腐敗による権力の内部崩壊の可能性は残る。日本の開発独裁の最後の砦=官僚制、公的部門の改革が必要な理由もここにある。キャリアシステム及び天下りから手をつけよ。

以上を整理すると、ソ連共産主義の失敗は(1)~(4)の全てが原因、とりわけ(3)思想原理:マルクスレーニン真理一元主義の失敗が大きい。この点、実事求是、百家争鳴の経験がある中国共産党(結構、プラグマティズム、功利主義)は一見しぶとそうだが、(4)組織の問題:権力は必然的に腐敗するが弱点で、思想言論文化の自由市場をつくれなくていずれ倒壊する。
そして、日本は、公的部門改革と多元主義文化構築及び人口減少を経て世界のトップを走る中規模経済・文化大国になるだろう(と思いたい)。日本の未来は(1)反帝国主義(2)自由主義(3)多元主義(4)社会的共通資本の重視と共にあるのである。

以上、(1)「共産主義失敗の原因は何だったか?」(2)「資本主義破綻の想定できる理由を述べよ」です。まず、ブログで論点整理してからアバウトミーするつもりです。(1)は中国共産党独裁体制の賞味期限切れはいつかという問題にもつながるように思っています。
資本主義破綻の想定理由は社会的共通資本破壊(エネルギー・水・食糧・環境)だろうなあ。ちなみに昨日の日経夕刊コラムに伊藤忠丹羽会長が「20世紀は石油とキリスト教の世紀、21世紀は水とイスラムの世紀」と書いてます。なかなかの知識人みたいやなあ。

構想の第一弾であった。殺戮の二十世紀を過ぎて来しわれらの未来われの晩年

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