金融危機は日本人民にとって千載一遇の好機なり
日経が「経済教室」で「金融危機と世界 行方を探る」シリーズでエコノミストの見解を連載中だが、昨日の大村敬一(早稲田大学教授)という人の寄稿がよかった。新聞記事で初めて金融危機に対する具体的な分析、指摘を読んだ思いだ。「日本の不良債権処理が成功例だとするのは疑問」というその趣旨は
①「公的資金投入のみで不良債権処理進まず」→厳格な資産査定が必要で、これを進めると貸し剥がしなど景気のオーバーキル危険性もあり実体経済がこれからまだ後退する現在の局面では要注意とする。
②「預貸金利差による銀行支援、米では難しく」→おとなしく同質的な日本の国民性だからこそゼロ金利政策による預金者からの銀行・大企業への利益移転による不良債権処理が可能だったが、自己主張が強く異質的なアメリカでは無理だろう。
③「株式資本の価値下落が流動性危機を呼ぶ」→事業会社と金融機関の株式資本の意味は全く異なる。事業会社の資本には設備等の物的資産の裏づけがあるが、<金融機関が増資で集めた資金はレバレッジ創造の単なる「濃縮ジュースにすぎない><公開された株式はレバレッジをかけた逃げ足の速い短期視野のファンドや機関投資家に保有され>今回のような信用不安の状況ではたちまち急落する。今回の危機は株式公開(GS証券も99年に株式公開したばかり)で業容拡大を急ぎすぎた投資銀行モデルの失敗だとする。
投資銀行リーマンを不用意に破綻させた米政府の対応(強いドル維持のためにはリーマン救済のための銭は使えない)が今回の金融危機の引き金(韓国が引き金などとは笑止千万)であり、危機が商業銀行やGMなど事業会社にまで波及したのは金融大量破壊兵器CDSに因るものである。
とすれば、欧米諸国の公的資金投入で信用収縮が一段落すれば今回の金融危機は商業銀行・事業会社を巻き込むことなく、投資銀行モデルの破綻という局所的バブル崩壊で済む可能性がある。
三菱UFJのモルスタへの九千億円投入(背景に日本政府の強いブッシュ/プッシュがあったことは想像に難くない)で人質ならぬ金質を取られた日本だが、ここはじっくり高見の見物を決め込むのも悪くない。現に、短期金融市場の落ち着きや欧米政府による金融危機対策などを好感して昨日のNYはダウ413ドル高だ。
つまりは、金融危機はアメリカの投資銀行の失敗にすぎず、日本にとっては製造業、金融業いずれにとっても競争優位に立つ千載一遇の好機なのである
(円高は中長期的に日本の国益!。外為特会の有しているドル債権の目減りが気になるが→上手に米国債を売ろうね、民主党「外貨準備を10年で半分に減らすべき」…菅直人氏「『埋蔵金』として使えるは上手に実行するべし)。
ああ、それなのに、我が麻生総理は
守ろう、日本の国益を、同胞諸君。底の浅い韓国経済の不幸を嘲笑う前に。
※以上を数日前に書いて今日(10/23)、いつも拝読している池田信夫blogが「金融危機の神話」と題して、
今回の主役は投資銀行(証券会社)であって、銀行の決済機能は破壊されていないので、大恐慌のときのように商
取引が止まる破局的な状況ではない。本質的には金融機関どうしの問題だから、実体経済への影響は逆資産効果など間接的なものにとどまる。問題は証券に値が
つかないことだが、パニックが収まれば取引が再開されるだろう。
と書いているのを読んで我が意を強くした。今が底値と信じて買い出動する意志も能力もないけれど。
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