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2009年8月15日 (土)

愛縛清浄

Photo 昨日、横浜美術館(初めて)に行ってフランス絵画の19世紀展を見てきた。アングル等のアカデミズムから印象派までの流れをたどる企画展であるが、正直言ってアカデミズムの絵は面白くない。マネやモネに至ってようやく、いいなあと改めて実感した。

その後、常設展の場所に移ったらカメラに○のマークがある。係員に確認したらストロボを焚かなければOKとのこと。こんなこともあろうかと携行していたカメラでまず最初に撮影したのが守屋多々志「愛縛清浄」の一枚である。

「男女が四肢をもって離れがたく縛りあっていることは本質として清浄であり、菩薩の境地」という理趣経の一節を採った日本画とのことだ。エロい意味で理解 されがちだが、全てのものごとは一であり関係し合っている、人間は本来清浄というのが理趣経の趣旨だと(いくつか検索して)理解した次第だ。そんな境地に はまず到達できないが、ああ、愛別離苦四苦八苦。以下、「やさしい理趣経の話」から一部転載させてもらう。

こうした自と他の繋がりを見ていくと、 自も他もない一体不二の関係性が見えてくる。これを別の言葉で「縁起」ともいい、「空」ともいう。また「清浄」とも言う。このあたりが般若理趣経と言われ る所以であって、「清浄句の門」とは、自も他もない「空」という関係性の教えとの意。だから、説一切法清浄句門 (せーいっせいほうせいせいくもん)で「すべてのものが自他の区別のない清らかな心の教えを説く」ということ。

そしてこの後、「○○せいせいくしほさいー」と唱える定型句が十七回繰り返される。これを十七清浄句と言い、男女の性交に関する言葉が登場するので有名な ところである。まず「妙適清浄句是菩薩位(びょうてきせいせいくしほさい)(妙適清浄の句は是れ菩薩の位なり)」とあり、「妙適」とは、まさに男女の性交 のよろこびを意味する言葉であり、またより大きな楽しみという意味もある。理趣経はこうして男女の性という生命を生み育むおおもとの交わりを、一味一体の 清らかなものと見て、それを菩薩の心と表現してより神聖なものと捉える。

Photo_2 その「妙適」が「妙適清浄」と表現されることによって、単なる男女の合体を性的意味合いから転換して個と宇宙、自と他、内と外という仕切りを取り払った全 体として物事を捉える世界観を表現する言葉となり、大きくその意味合いが変わってくる。個々の私情をはるかに超えて自と他の境のない、つまり宇宙のすべてのものとの一体、一つであるとの意識により、より大きなよろこび楽しみへと心を差し向ける手かがりとして男女の性交を意味する言葉を表現している。

愛縛清浄がガラスの反射で見苦しくなっているので(これを克服する意志も技量も俺には無い)、もう一枚、「王様の美術館」ルネ・マグリットを載せておこう。菩薩も夜叉も全ては現象、見る角度によって様々に見え、見る者がどのように記号世界に構築するかということなのである。

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