人生方程式とカント道徳哲学
ほぼ毎日連載していたTwitter小話「エゴと自己愛はどう違うのだろう?」を終えた。結論は
エゴは他人本位(損得、好き嫌い、理非、善悪)、自己愛は自己本位(苦楽、美醜、虚実)。他人本位の生活もいいけれど自己本位の人生を生きたいね。
ということだ。未読の方は上のリンクをクリックして笑覧いただければ嬉しい。
ところで、この小話連載と並行してハーバード白熱教室再放送全12回を録画して(見逃した回が結構あるので)初回から鑑賞中だ。そのうち、なかでも第6回「動機と結果 どちらが大切?」が面白かった。カント道徳哲学をわかりやすく説明してくれたのだ。
サンデル教授はカント道徳哲学を三つの対比で説明している。
道徳性(動機:義務vs傾向性)、自由(自律的vs他律的)、命法(定言命法vs仮言命法)。自由とは自律的に行動することであり、その道徳性存否の判断は動機が義務に基づいているか否かであり、義務は定言命法によって与えられる。
もうちょっとくだいてみる。
結果より動機が大事、しかも、その動機が外から与えられるのではなく自律的に動機を作り出して(義務として)行動すること(それが自由)、そして義務とは、条件付きのものではなく(見返りに何かを与えられるでも何かのためにするものでもなく)無条件に「~せよ」と命じる絶対的命法である。
こうして、義務(定言命法)と自由は一致する。「義務を果たしているときにあなたは自由だ」がカントなのだ。
でもねえ、そんなことできゃせんよ。飯を食うためには嫌な仕事も嫌々しなけりゃならぬし、世間のしがらみを無視してこれが俺の義務なのだと言うたら馬鹿扱いされる、と思うよね、誰しも。これに対してカントは言う。
世間(感性界)は傾向性(必要)の世界、そこでは嘘も方便、必要を満たすためには世間のしがらみに従うこともある。私が言っているのは世間の話ではなく叡智界(理性。当為)のことだ。叡智界において人は様々な属性(生まれ育ちやしがらみ)・必要から解放されて当為や義務について語ることができる。これが人倫の形而上学基礎なのだ。
つまり、カントは俺の人生方程式と同様の二分類モデル化をしているのだ。
人生=世間(損得、好き嫌い、理非、善悪)+魂(苦楽、美醜、虚実)
=感性界(損得、好き嫌い、理非、善悪)+叡智界(苦楽、美醜、虚実)
と、また、屁理屈を捏ねてしもうた。世間とは別に魂がある。そこは独我の世界。しかし、独我は叡智界を通じて万人に開かれている。この通路に言語が相まって心は(脳内現象ではなく)社会的現象なのだ。
2010年08月31日(火)
3:50起床。ダムラウ&メストレ ジョイント・リサイタル、ドビュッシー・フォーレ・シューマン・Rシュトラウスの歌曲(知らない曲ばかり)、ダムラウは初めて聴くソプラノだが高音を弱く美しく歌える素晴らしい歌手。魔笛の夜の女王でスターダムに上がったとか。声楽を聴く喜びに馴染みつつあり。
posted at 07:35:44
@Hiro_NaOka @boosuke23 @sunajopon @biwaprancer @azumizoku @itutubosi @kgussan @udonenogure1 おはようございます。プールに歩く朝です。減量が私の義務です。
posted at 07:41:12
#twnovel 自己愛は魂=自分軸(苦楽、美醜、虚実)誠実に美しく楽しむ心、エゴは世間=他人軸(損得、好き嫌い、理非、善悪)にこだわる心ということね。利害や好き嫌いや理屈や善悪にこだわるのがエゴ、そんなことより自分の(苦楽、美醜、虚実)を大切にするのが自己愛。うちは自己愛よ。
posted at 11:06:19
白熱教室「嘘をつかない練習」所感:肉体は感性界(現実)に属し必要性原則だから「嘘も方便」、精神は叡智界(仮想モデル)に属し自律原理なので「嘘をつくな」。カントは、正義と権利は理性の概念に基づく仮想上の社会契約に基づくとした。「嘘をつくな」は仮想社会契約(定言命法)として働く。
posted at 14:06:56
私は独我論+「心は社会的現象」論です。自律が基本、他律は方便です。 RT @sunajopon: @doyoubi なんとなくまとまってきましたね ^^。でも独我論者が「他人軸」などを設定してよいのであろうか ^^。
posted at 14:09:27
普段、テレビはビデオでの俺がリアルであちこちのチャンネルを放浪。結局、NHKに滞留なう。
posted at 17:42:42
「不動産はこれこれこういう理由で購入した」と明快な説明をしてほしいのだけど、アカンやろなあ、小沢さん。この一点をクリアすればいいのにと勝手に思う半分小沢ファンである。
posted at 18:06:32
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